【鳥取】伯耆大山 雪山登山 ~ 究極の白に染まる別天地、冬の中国地方最高峰の旅

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2015年3月8日

鳥取県の伯耆大山(ほうきだいせん)に行ってきました。標高は1729mです。

中国地方最高峰であり、日本を代表する山の1つです。日本全域の山々から比較すると決して標高のある山ではないですが、中国地方において抜きに出た高さを誇り、端正な円錐形の山容から「伯耆富士」として親しまれています。

弥山から望む最高峰の剣ヶ峰は、誰もが見惚れる風景です。

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2泊3日で冬の山陰を旅してきました。

中国地方に孤高に君臨する伯耆大山は、関東の登山者である自分にとっては、その知名度と圧倒的な存在感から切望の山でした。数年間、虎視眈々と登る機会を伺っていました。

冬の日本側の悪天率は言わずもがなで、お金と時間をかけて何も収穫の得られない天気では目も当てられません。しかし、ここは男らしく天候一本勝負、2015年3月第1週目の週末に運命を委ねることにしました。

どこまでも果てしない青空と白以上に白い雪山の旅スタートです。

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伯耆大山について

大山(だいせん)は日本の鳥取県にある標高1,729mの火山で、鳥取県および中国地方の最高峰である。角盤山(かくばんざん)とも呼ばれるほか、鳥取県西部の旧国名が伯耆国であったことから伯耆大山(ほうきだいせん)、あるいはその山容から郷土富士として伯耆富士とも呼ばれる。日本百名山や日本百景にも選定され、鳥取県のシンボルの一つとされている。

鳥取県警察Web登山届:https://www.pref.tottori.lg.jp/69058.htm

伯耆大山の地図

伯耆大山地図

コースタイム

大山夏山登山口(9:15)→大山1合目(9:36)→大山5合目(10:31)→標高1600m地点(11:35)→弥山(11:52)→剣ヶ峰(12:52)→弥山(13:32)→大山夏山登山口(15:03)

合計:5時間48分

全体的にダラダラ歩いており、写真撮影とカップラーメン食事休憩込みの時間です。弥山の往復であれば、4時間前後と言ったところです。

伯耆大山登山

山陰の薄暗い夜明けと悪天候からの回復

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前日は島根県の三瓶山に登っていました。

【島根】三瓶山 雪山登山 ~ 日本神話に伝わる格式高い山、モノクロ模様の空と山陰の旅
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米子市内の道の駅で車中泊をした我々は、日の出前に移動を開始しました。向かった先は、中海(ちゅうかい)にある枕木山です。簡単に説明すると中海越しに伯耆大山を眺めるポイントで、Saku氏は遠征には日の出のカットが必要ということで向かったのでした。

「枕木山」を検索すると廃墟ラブホテルのレポートばかり出てくるので、こんなスポットに男二人でいること自体が事案です。

自分は山陰の寒さに震えて、あまり眠りにつけていなかったので、もっと寝ていたかった。

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Saku氏は「ダイアモンド伯耆大山」を撮るんだと野心に満ち溢れていましたが、無常なる分厚い雲に覆われて、日の出の一滴もありつけない黒歴史を生んだだけであった。

夜景も鳥取県の米子市ということで、人工不足が理由の光量が足りておらず微妙な感じでした。

曇天具合が半端ではないので、我々に光は指すのだろうかと不安に駆られます。

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枕木山は島根県で、伯耆大山は鳥取県。

2泊3日の旅で鳥取と島根を何度も往復しているので、どっちが鳥取か島根か問題は自分的に完全に解消されました。

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小ネタではありますが、通称「ベタ踏み坂」と呼ばれる橋を通りました。

https://matome.naver.jp/odai/2138469580570080901

車のCMで有名になったスポットです。撮影角度的にものすごい傾斜があるように見えますが、実際はベタ踏みせずとも登れます。

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西日本メインで展開されているファミリーレストランチェーン店「Joyfull」に立ち寄りました。九州でさんざん見かけましたが、結局寄らずじまいだったので、気にはなっていました。関東にもちょこちょこと増えてきていると思います。ちなみに大分県の企業。

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Saku氏は本日誕生日を迎え、できる男のスープバーでコーンクリームスープを注いでいた。コンソメスープではなかった。

俺の誕生日だから伯耆大山でキメるという表現をしているが、別に狙ってこの日にしたわけではなく、都合のいい日がここだったというのを細くしておこう。

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7種の和朝食定食ドリンクバー付き(税込530円)を掻っ込み登山に対する万全の構えを整えます。Saku氏はサーモン丼を頼んでいたが、昨日の朝食に港で海鮮丼を食べておきながら…。

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大山の麓にあるスキー場の駐車場に停めました。

大山は山陰の高原リゾート化されているので、アクセスは容易です。東京から米子行き夜行バス→路線バス乗り換えで登山可能です。

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晴れている。

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完全に悲壮感漂う天気でしたが、大山の麓まで来てみれば、その堂々たる銀嶺の姿がそびえ立っていました。

標高1700mとは到底思えないくらいの白さをしていました。

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トイレを済ませるために駐車場からほど近いところにある大山情報館に立ち寄りました。

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観光案内所もあり、登山届をここで提出しました。

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スキー場が二つもあるので、旅館やペンションが立ち並んでいます。春夏秋冬どの季節も賑わいを見せるようです。

大山寺に向かう途中の道にも雪が堆積しているので、ツルツル滑りました。

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モンベル大山店」がありました。

登山口の近くに直営店という立地は、かなり攻めてますね。僻地中の僻地。

いかに登山者が集中して訪れるということがわかります。モンベルは北海道旭川にある大雪山の麓にあったり、ほんとに客が来るのか疑問なところに出店しますね…。

中国地方最高峰への登山開始

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大山夏山登山口は道路の脇にあります。

結構、車が通るところで、歩道が完全に雪で埋まっているので通行注意ですね。

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9時15分 登山開始

週末の晴れ予報ということもあり、トレースはばっちりです。

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入口から雪道なのでアイゼンをさっそく装着します。

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入口は杉の巨木が左右に植えられた一本道です。登山道から逸れて、お堂やペンションが建っていました。

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最初はもくもくと歩くのみです。傾斜も緩やか。

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大山頂上は登山口から3.0kmで、コースタイムは3時間となっています。山陰の小中学生は遠足で大山に登るんだろうな。

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1合目の看板が埋もれていて、「目」が隠れていました。

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「大山」と単純に漢字で書かれていると関東の人間からすると神奈川県丹沢山地の大山(おおやま)が思い浮かびます。「大山」でWeb検索すると混在するのが厄介なところは登山あるあるでしょう。

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植生は徐々に杉からブナに変化します。

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とりわけ退屈な雪の斜面が続き、徐々に傾斜を増していきます。

このまま代り映えのない辛い坂道が続くのかと思いきや、景色が一変します。

前日の悪天候がもたらした霧氷の森

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黒いシルエットのモノクロの樹林帯が、太陽の光に照らされ白銀に輝く霧氷の森に変わりました。

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朝方まで雲に覆われていた大泉は、登山者には不安の種でしたが、悪天候がもたらした自然現象の副産物です。

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0.2ミリほどの無数の枝に1センチほどの氷が付着しています。

前日の晴れ予報のハズレは落ち込みましたが、大山にて霧氷をみせてくれたのだから、心は救われます。

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しばし、山頂を目指すことを忘れ、氷の花見に時間を費やします。

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雨上がりの虹のように、悪天候の後に見られる霧氷。

ブナの木は数十メートルにも背があるので、全てに霧氷が出来ている光景は圧巻。いつまでもこの空間に留まることができる。

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こちらは少し溶け始めて、蜘蛛の巣のような結晶を作り上げていました。

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大山5合目 10時31分

久しぶりに見た霧氷に気を取られ、だいぶペースが落ちています。1合目は「目」が隠れていましたが、5合目は「合」の半分が隠れていました。

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霧氷の鮮度は夏のカレー以上に短く、時間にして10時半、気温の上昇と共に崩壊を始めました。

我々に容赦なく氷の粒が降りそそぎます。頭に当たるとリアルに痛いし、尖っているので、切り傷を作りかねないので、霧氷ゾーンからの脱出を余儀なくされます。

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男二人に華々しい世界は似合わないのか。

氷の雨に打たれながら、光の射す方へと登り続けます。

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ただ、青空へと向かう一直線の登山道。

いよいよ、樹林帯を抜け、遮るものの無い森林限界を越えてゆきます。

森林限界を抜けて、圧倒的な白銀の世界

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斜面左手に身震いのするような白銀の大山が飛び込んできます。

関東の感覚からすると標高1700mとは思えない。丹沢より少し高いくらいですし。

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登山道を振り返ると先ほどの霧氷の森、そして日本海を一望できます。

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登山者の数は、3シーズン中と変わらないんじゃと思うくらい歩いていました。

冬の伯耆大山が休日に晴れになるチャンスは数回しかないので、ここぞとばかりに全国から登山者が殺到するのでしょう。

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霧氷の森から世界がガラリと変わり、まだまだ先へ先へと向かう気力が湧いてきました。

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と言ったものの、「冬山登山をやってます」を堂々と語るにはおこがましいレベルである自分たちは、急斜面にハァハァ言いながら、鈍重なペースで登ります。

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大山は独立峰ということで、高低差のある絶景を楽しめます。

富士山から見た沼津湾のような展望と比類する眺めがあり、日本海側の山に登っているという特別感が強いです。

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傾斜があるので、アイスバーンになっている早朝とかに登るのは怖いものがある。

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真っ白な北壁斜面。

ひびが入れば、すぐにでも雪崩が発生。畏怖もあり、だからこその美しさがあるのかもしれない。

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本場の大山で、奥大山の天然水を味わう。

「ガキの使いやあらへんで」の罰ゲーム企画で、浜ちゃんがフランスのエビアンまで水を汲みに行くという内容があったが、あれと似たようなものか。

しかし、奥大山とはどこを指すんだろう…。

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これから目指す弥山(みせん)はまだまだ先。

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最高峰の剣ヶ峰は、主峰である威風堂々とした姿をしています。

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高度が上がるにつれ、見た目に反し、登山道は幅は広がります。

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大山はバックカントリーをできるようで、たくさんのスキーヤーが滑っていました。森林限界が低いため、ボーダーも多かった印象。

海を眺めながらの滑走は気持ちよさそうです。

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何があったのかわからないもの。

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ゲレンデのように広い斜面を登っていくと伯耆大山山頂小屋がありました。

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1階部分は完全に雪の下に埋もれており、管理人と思われてる人が2階部分の入り口を掘っていました。冬季は避難小屋としての活用だけのようですが、夏は飲み物や軽食も販売する小屋になるようです。

伯耆大山も三瓶山と同様に避難小屋泊プランで、朝日と夕陽を眺めに訪れたいと思いました。

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小屋から弥山山頂まではすぐ。多くの登山者が山頂に立っていました。雪が多くて、3シーズン中の山頂部が想像できません。

写真で見るとハイ松の中に木道が整備されているんですね。

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道中より山頂の方が風が少なく、着こまずとも十分な気温でした。

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とうわけで、弥山山頂に到着です。

どこまでも白い威風堂々たる剣ヶ峰

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11時52分 弥山山頂

切り取ってみれば、海外のン千m峰と見間違わないばかりの壮大な景色が待っていました。寒さが起因ではない、震えが襲います。

細く切り立った雪の回廊と奥にツンと聳え立つ最高峰の剣ヶ峰(けんがみね)

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雪がない時期だと弥山の山頂に「大山山頂」という石碑が建っていますが、雪に埋もれているので「大」文字で表現します。

Saku氏に写真を頼んだが、全ての写真が斜めになっているので、水平感覚が狂っている模様。

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剣ヶ峰の威容とは真逆、人がたくさんいるゲレンデのような弥山の山頂直下の対比が面白い。山頂直下だけならヒップソリで滑れるな。

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というわけで、剣ヶ峰へと足を運んでみます。トレースがしっかりしていて、見た目以上に滑落の危険はありませんでした。

ただ、この時は風速2~3m程度の微風だったから行けたという話です。

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剣ヶ峰まで続く尾根道は、日本の山岳風景を代表する一つだと思います。

富士山武尊山にも剣ヶ峰がありましたが、どこの剣ヶ峰よりも剣ヶ峰らしい姿だ。

大山より東側は雲海になっていました。次は登山者が数組休憩しているところまで、足を延ばしてみます。

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3メートルの四方の平らなスペースがあり、二度とないかもしれないコンディションに恵まれた一日に感謝し、剣ヶ峰をバックに記念撮影。

Saku氏の勝負服である「社蓄魂Tシャツ」が青空に映えます(棒)

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全ての絶景を台無しにすると定評の社畜魂Tシャツは、伯耆大山でもいかんなく発揮されていました。彼における人生のバイオグラフィは伯耆大山登山以前、以後とで重要なポイントとなったらしい。

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無風状態になり、日常ではしないアクションをするだけで、汗が出ます。そして、息が切れます(これは運動不足によるものか)

断崖絶壁の雪の回廊、弥山~剣ヶ峰の尾根へ

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無風状態というコンディションは一生の内に訪れないなと想い、ふんどしを締めて取り掛かります。

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ここからは人一人分のトレースしかなく、サイドは急斜面です。

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ここからが危険域。

序盤はまだ余裕があり、ピッケルを雪面に刺しながら、慎重に歩きました。写真はそう見えないけど。

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小さなピークが2か所あり、この区間が「ラクダの背」と呼ばれる危険地帯でした。無風状態の話で。

風速が5m以上あったら間違いなく、足を運ぼうとも思わなかった。

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吸い込まれるような北壁斜面。

滑落したら何百メートルも転がり落ちていきそうです。一歩また一歩、確実に進んでいきます。

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一人分の歩行スペースしかないため、すれ違う時は、小ピークのスペースですれ違います。

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割と人が歩いていることに驚きを隠せない。

男性に連れてこられ、明らかに恐怖心でへっぴり腰になっている女性がいた。

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Saku氏は「もう無理、怖い」ということで、途中のピークで待っているとのことになりました。

悩んだ挙句、単身剣ヶ峰に行ってみることに。

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ヤセ尾根の中間部分は写真を撮る余裕はなく、下りになっている箇所は這いつくばるような体制でピッケルを刺しながら進みました。

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ヤセ尾根を終えました。

しかし、気温の上昇による雪崩が発生したら、いっかんのおわりです。

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社畜系カメラマンことSaku氏が極地を登頂している風に撮ってくれています。しかし、実際はボードを担いだ人が歩いていたりと世界観がちぐはぐしている。

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遂に自分の足が止まりました。

どうやら剣ヶ峰の山頂が見えたようです。

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と、ここで自分の視点に切り替わります。

いよいよ剣ヶ峰の山頂を捉えました。

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振り返るとものすごいところを歩いているなと思う。

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稜線を歩くのに精一杯だった自分を横目に命知らずのボーダーはいかにも雪崩が発生しそうな北壁斜面にシュプールを描いていた。

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弥山から遠くに、そしてだいぶ低く見えます。

弥山との標高差は、たった20mです。

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山頂を示すであろう看板や三角点は雪の下、トレースが途切れ、どうやらここが最終地点のようです。

剣ヶ峰の向こう側の世界が見えました。

中国地方最高峰、大山最高峰の剣ヶ峰

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12時52分 伯耆大山剣ヶ峰山頂

脳の奥の方で、ベートーヴェン「交響曲第9番」のメロディが流れた気がした。

無茶と言えば無茶だが、やり切った感はありました。伯耆大山という憧れた地ということで、今回の無茶は許してほしいところ。

山頂より、360度の動画です。

ここで空撮の絵でもあればいいなと思うけど、テレビのロケでもないのでそれは不可能という話。手のひらサイズのドローンが発明されれば…。

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九州を旅した時に飛行機から撮影した大山を意味もなく貼っておきます。

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奥大山の天然水を飲む儀式。

これ一回こっきりで、危険なルートは勘弁だ。

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現時点において、中国地方5県(岡山県、広島県、島根県、鳥取県、山口県)の誰よりも高い位置にいる。

しかし、感動に浸っている時間はありません。待ってくれている人がいる、私は帰らなければいけません。同世代の男だが。

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下山もまた同じ道なので、気を引き締めてかかります。

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平均台のような道。

ちょっと足を引っかけて、転んだら左右どちらかの斜面を真っ逆さまです。2011年より以前は普通に歩けていたのが信じられません。

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待っててくれていたSaku氏と合流し、弥山へと帰還します。

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無事、難所を乗り切りました。

色々な条件が重なって、特別な技術もなく歩くことが出来た、というとこを念を押します。

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弥山に戻り、ささやかな昼食タイムとなりました。

鳥取県で流通するローカル牛乳の「白バラ牛乳」で祝杯です。鳥取県には「大山乳業農業協同組合」の牛乳メーカーが1つだけで、鳥取県民の血液の一部は白バラ牛乳で構成されているそうです。

東京では成城石井で購入することができます。

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Saku氏のバースデーを祝い、さくら味の巨大ロールケーキをプレゼントさせて頂きました。昨晩立ち寄った温泉施設の売店で買ったものですけど。

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日本海をバックに一本食いと男らしい。

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大山山頂を後にした、カレー味のカップヌードルは世界一の味でした。

後ろ髪を引かれながら、大山を下山

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遠方の大山で、一日中快晴に恵まれることなんて中々ないので、非常に名残惜しいです。

しかし、下山は登頂の高揚感と昼食中に次のプランが決定したこともあり、駆け降りる様なハイスピードでした。

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日本海へ向けて一直線な下山路をサクサクと歩くのは爽快の極みです。

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下山途中、仁王立ちするSaku氏。

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最後の最後に大山の姿を思い出として焼き付けているようでした。

彼は「こんな絶景をサングラス越しに見るのは勿体ない」とずっとサングラスを装着せずにいたため、リアルに眼球が日焼けし、後日充血に悩まされたことを追記しておこう。

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!?

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大山の北壁全景。

ここは鳥取県であり標高1700m、登山者がたくさん訪れる山。また、冬に来たいけれど、次は雪のない季節に訪れます。

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いっそこのまま、夕日が沈むとともに下山しようかという案もあった程に後ろ髪がひかれます。

ということで、伯耆大山とはお別れです。

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下山途中に大山のような真っ白な色をし、ふわふわな毛を持つワンコが登っていました。

時間が遅かったけど、弥山まで歩けたのか気になります。

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登山中は美しい霧氷をみせてくれていた樹林帯は、魔法が解けたかのように元の枯れ木の姿に戻っていました。一日で数時間でしか見られないとても儚い風景に出会えたのは、快晴の大山以上に幸運だったのかもしれません。

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下山はひたすら無心にくだるのみ。

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下山を開始して1時間で、夏山登山口に下山完了です。

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最後の最後、登山口から車道に降りるところが難所でした。アイゼンをはずしているので。

Saku氏はこの直後に盛大にずっこけて、落ちをつけてくれました。誕生日ということでもっている男である。

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モンベル横にある大山寺橋からは、快晴の空に白銀の姿を表していました。

まるでヨーロッパ・スイスの本場のアルプスを見ているかのような荘厳な風景でした(ヨーロッパなんて行ったことないけど…)

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手に持ったアイゼンをザックに入れるついでにモンベル大山店を物色。

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大山限定のオリジナルTシャツが販売していました。モンベルファンでもないので買いませんでしたが、モンベルコレクターの方は是非。

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大山から下山後の日帰り温泉施設は「火の神岳温泉」がメジャーなようです。

露天風呂も広く、館内設備も充実しているようです。自分たちは次のプランのため、寄ることができませんでしたけど。

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温泉にも入らず移動を開始します。

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山陰道からは伯耆大山の全景が見えていました。今日歩いた、登山道~弥山山頂~剣ヶ峰が見えます。大山が富士山のように見えるのは、伯備線が通る西側から見た場合のようです。

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鳥取県内を東へ東へと移動します。

山陰道は鳥取市内手前で途切れているので、国道9号線にバイパスします。

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鳥取市内に近づいてくると名探偵コナンの看板をやたら見かけます。作者の故郷なのだとか。

鳥取県の二大都市である鳥取市と米子市は、山によって隔てられているため、別の文化圏な気がします。

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因幡の白兎で有名な白兎海岸という観光地もあります。

昔淤岐ノ島に流されたうさぎがワニザメをだまして気多の崎まで渡ろうとしたが、だまされたことに気がついたワニザメに皮をむかれて苦しんでいる時に、大国主命が通りかかり「真水で身体を洗い、ガマの穂にくるまっていなさい」と言われ完治したという神話

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このへんは次回来た時に観光するかと思うような場所が点々とあります。

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鳥取市内を通過し、目的地の表示が目に付くようになりました。

黄金色に染まる鳥取砂丘、日本海に沈む夕日

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鳥取と言えば…

で、一番に名前が上がる(むしろ、それしか上がらない)でおなじみの鳥取砂丘です。大山の駐車場を出発し、1時間半ほど掛かりました…。鳥取県は横に広い。

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観光客もまばらになりつつある17時過ぎの鳥取砂丘。

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登山後に温泉にも入らずやってきたのは、日本海に沈む夕日を見るためです。

そして、最高地点から海抜0mを踏むという例の行為の続編です。富士山登山の時も同様に実施された。

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ほぼ、登山着のまま鳥取砂丘の観光を開始します。この時間になると海風が吹き付け、大山山頂より寒かった…。

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夕焼けに染まる鳥取砂丘は日中帯に見るより美しいのではないだろうか。

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砂丘をピッケルを駆使して登るという謎の行為。

大山と砂丘は同じ鳥取県内であれど、「あの人たち登山服だし、大山を登山してから観光してるのかな」とは全く思われない距離。芸としては当人たちは面白いと思っているが、通報されかねない事案です。

大山山頂の稜線より危ない橋を渡っているのではないだろうか…。

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海岸線を踏みます。

日本海の海岸にはハングル表記のゴミが少し落ちているのが通常ですが、観光地であるため綺麗に掃除がされていました。

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もしかしたら、砂丘から大山が見えるかなと思っていましたが、分厚い雲に遮られて見えず。山頂からは雲海になっていたので当然と言えば当然か。

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ピッケルをクロスさせて記念撮影。

砂と雪を相反する状況だがマッチしている気がしないでもないです。

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一日が終わりを迎える。

そして、忘れていたけどSaku氏の誕生日も終わる。誕生日を一緒に祝うのが自分だけで良かったのだろうか…。いや、彼はこの旅の道中で、しきりに連絡を取っている人がいたので、まあそういうことなのだろう。

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分厚い雲の向こうに夕陽が沈んでいきます。

一日の終わりに夕陽を眺める行動は、これからもどんどん取り込んでいきたいと思います。

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そして、ラストワルツをもう一度ということで、分厚い雲と半島の隙間から正円の太陽が顔を出しました。

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真紅に色を変化させた太陽が、ゆっくりと沈んでいきます。

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沈み切った…。

山陰2泊3日の旅の2日目は、フィナーレ

鳥取砂丘を観光した後は、レストハウスでお土産を購入。二十世紀なしと砂丘らっきょ推しだった。

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駅前のビジネスホテルを予約し、お腹を満たすべく、鳥取ディープナイト開幕です。

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と言っても、鳥取県のご当地グルメはこれと言ってわからなかったので、鉄板焼きの居酒屋に入りました。

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鳥取県のB級グルメらしい、鳥取ホルモンそばを注文しました。ホルモンが麺に絡んで、濃厚な味付けで、登山後に相応しい味でした。

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ということで食欲を満たし、駅前のビジネスホテルにチェックイン。

本当に夜20時の県庁所在地なんだろうかと思うほどに静まり返った鳥取駅前のコンビニで、お酒とおつまみを買い、部屋でささやかな打ち上げをしました。

伯耆大山の登山を終えて

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神の悪戯としか思えるくらいに日本の山々は、全国各地に個性豊かな山が散らばっているなと思います。

北海道、東北、関東、甲信越、北陸、近畿、中国、四国、九州それぞれの地方の山を登りましたが、似ているところはあれど、どれ一つとして同じような山はありません。

季節を変えて、登る人間を変えて、永遠に面白さが尽きません。一生かかっても満足が行くとは到底思えないのが悩みどころでもあります。

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悪天候から回復の副産物である霧氷の森、弥山山頂から眺める剣ヶ峰の唯一無二の威風堂々たる山容、北壁と南壁に浮かび上がる極限の稜線、日本海と雲海の全方位の展望。単純に晴れたこと。

今日という一日に究極が込められた伯耆大山でした。

一度登った雪山は「もう登らなくていいや」という気分になる自分ですが、伯耆大山であればまた登りたいです。米子市民だったら、全ての予定をキャンセルして、登りに行くかもしれません。

大山は「ダイセン」を冠する固有の高山植物も咲くと聞くので、夏にも訪れたいと思っています。

今回は事前に航空機の手配もしていたこともあり、往復交通費は3万円を切る値段でした。それもまた満足度を上げる一つの要因でした。

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人類初の宇宙飛行士ユーリー・ガーリンは「地球は青かった」、大西洋無着陸飛行を初めて成功させたチャールズ・リンドバーグは「翼よ!あれが巴里の灯だ」。

偉業を達成した人は、名言を残しています。せっかくなので、恐れ多くも自分も後世に言葉を残そうと思います。

「鳥取は砂丘だけじゃなかった」

鳥取出身の人ごめんなさい…。

伯耆大山ならずとも中国地方には魅力的な山々が眠っていそうなので、東京からは遠い地域にはなりますが、素晴らしい山を探しに来ます。

きっと。

伯耆大山の地図はこちら

『【鳥取】伯耆大山 雪山登山 ~ 究極の白に染まる別天地、冬の中国地方最高峰の旅』へのコメント

  1. 名前:ハルオ 投稿日:2017/01/20(金) 08:20:10 ID:c2a9b3ea7 返信

    毎回 楽しく読ませて頂いてある読者です。
    快晴の真っ白な大山❗️
    そして、樹氷❗️
    凄く 綺麗で羨ましいです
    自分が行った時は曇りでガスでしたが、晴れていればこんな景色があるなんて
    しかし、剣が峰までの道は・・・
    怖すぎる・・・
    今回も、楽しく参考になり、綺麗な記事をありがとうございました。これからも楽しい記事を待ってます❗️

    • 名前:veryblue 投稿日:2017/01/20(金) 23:29:56 ID:17da0e6e9 返信

      >ハルオさん
      コメントありがとうございます。
      足を延ばしにくい山陰ですが、伯耆大山はまた行きたいですねえ。
      自分は登山バッチを買いそびれました…。

      綺麗なのは山であって、男二人の非常に心の汚れた旅でした。

      またのコメントお待ちしております。

  2. 名前:tsymur 投稿日:2017/01/20(金) 21:37:27 ID:49646842b 返信

    いつも楽しく拝見しております!
    実は、数年前からveryblueさんのブログをおっかけてるうちに登山に興味を待ち、スタートしました。いつも登山情報が豊富な事に加え、惹きつける内容のブログで、私の山友達共々楽しんでおります。
    大山、神奈川の大山とは全然違いますね笑
    いつか自分もチャレンジしたいと思いました!
    また、登山の記事を楽しみにしております。

    • 名前:veryblue 投稿日:2017/01/20(金) 23:36:54 ID:17da0e6e9 返信

      tsymurさん
      コメントありがとうございます。
      ブログを読んで頂きありがとうございます。
      誰かの登山の始めるキッカケになれてうれしい限りです。神奈川大山とは違いますね!
      太平洋側と日本海側でガラリと山の雰囲気が変わり、日本はいつまでも旅のしがいがあると思います。

      またのコメントお待ちしております!

  3. 名前:すばる 投稿日:2017/01/27(金) 22:05:26 ID:e4fd4ad5a 返信

    今晩は、毎回面白おかしく読ませて頂いてます。鳥取の大山、素晴らしいですね!うらやましいです!丹沢の大山と同じ名前で神奈川在住としては紛らわしい限りですが、必ず行きたいリスト(冬)に入れてますよ。あ、このブログを見て先日仏果山&高取山に行きました(笑)

    これからも更新楽しみにしています。
    お怪我をしない様に。

    • 名前:veryblue 投稿日:2017/01/27(金) 22:45:51 ID:c9695f14b 返信

      >すばるさん
      はじめまして、コメントありがとうございます。
      神奈川在住なのですね。
      どちらかというと本場の大山は、神奈川ではなく鳥取のものなのかもしれません。日本の歴史は西から始まっていますし。
      仏果山&高取山は登ってからだいぶ時間が経ってしまっているので、また登りに行きたいと思っています。

      またのコメントお待ちしています。

  4. 名前:やま子 投稿日:2017/02/01(水) 22:28:44 ID:420c6227c 返信

    エッー 今頃大山?
    Sakuさんは、感激の涙を流しながら、早々にアップされましたよ(笑)
    あのきれいな青空と、真っ白な山頂!! 冬の大山登りたい!
    弥山までは縦走禁止なんですが、雪があると行けるんですね。
    (怖そうだけど)
    男二人で残念な誕生日を迎えた Sakuさんを、心から祝ってあげてる
    Veryblueさんは、優しい(^з^)-☆

    • 名前:veryblue 投稿日:2017/02/07(火) 17:27:32 ID:8c035b171 返信

      >やま子さん
      大丈夫です。
      伯耆大山の思い出は色あせていないので、今頃という気持ちはありませんよ。
      という言い訳。
      冬の大山はそれなりの装備が要りますし、天候次第なところがありますね!!!

      非常に彼はマイペースな人物なので、これからも何かしらに付き合わされるかもしれません。